靖国神社参拝問題について考える:ジャパンタイムズの記事紹介

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靖国参拝する閣僚たち
写真(靖国参拝する閣僚たち)

 結論を先に言いますと、国民の代表である政治家は靖国神社に参拝してはいけません。私人であっても参拝したら見識を疑われることを覚悟するべきです。靖国神社の基本的立場は同じ敷地内の遊就館で示されています。

「天皇の軍隊が行ったのは自衛のための戦争であり、侵略戦争では断じてない。日本軍の行動を邪魔する者は皆テロリストだ。我々は何も悪いことはしていないので謝罪する必要はない。」

 歴史的事実を知らず問題意識もない日本人にとっては耳に心地よいかもしれません。しかし、実際に侵略され殺された側の諸外国はこんな施設の存在を絶対に許さないでしょう。内閣の最高責任者である総理大臣がそんな場所へ度々参拝している訳ですから、外交関係が壊れてしまうのは当然です。

 もしもドイツの首相がナチス幹部の墓に花を添えようものなら、一瞬にして政治生命が絶たれることは確実です。しかし日本の総理大臣はA級戦犯に何度頭を下げても平気なんですね。誠に不思議な現象です。

 参拝を終えた総理大臣が記者から理由を尋ねられると、「戦争で犠牲になった人たちへ哀悼の意を示すため」などと言うことが多いですが、哀悼の意を示すための手段が不適切なことに気付いていないようです。また、「参拝するしないは信仰の自由の問題だ。他国から干渉されたくない。」などと開き直る人もいますが、被害を受けた諸外国に対して「お前たちの気持ちなど知ったこっちゃない!」と言っているのと同じです。基本的なコミュニケーション能力が欠如しているので、こういう人たちが外国語を学んでも意味がありません。ケンカになるだけです。

靖国参拝する石原慎太郎
↑こういう面白い人もいましたね。

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 日本遺族会の票が欲しくて靖国参拝を約束する総理大臣もいます。総理在任中に6回も靖国参拝をした小泉さんはその代表ですね。但し全ての遺族が総理の靖国参拝を喜んでいる訳ではありません。戦争を美化し、過去の行いに何の反省もない靖国神社の考え方に眉をひそめる人も多いのです。

 小泉さんの子分だった自民党の安倍さんも過去の失敗への反省が全くありません。戦争ができる国造りへ向けてひたすら邁進しています。将来、同盟国アメリカと共に日本が侵略戦争をすることになった場合、安倍さんは次のように言い訳をすることでしょう。

「これは自衛のための戦争だから憲法違反ではない。」

 The Japan Timesの2014年7月28日付記事「A trip around the Yushukan, Japan’s font of discord」から一部を以下に引用します。( )内は私の日本語訳です。参考にしてください。

「Eight months on, the diplomatic shock waves from Prime Minister Shinzo Abe’s visit to Yasukuni Shrine in December continue to reverberate. The Chinese and South Korean leaders still refuse to meet one-on-one with Abe, with Beijing seeking assurances from Tokyo that the premier will not make another visit to the contentious site as a precondition for talks.」
(安倍総理が靖国神社を12月に参拝してから8か月経つが、外交上の軋轢は続いたままだ。中国政府と韓国政府は安倍総理との会談を依然として拒否している。論争の原因となる場所へ安倍総理が二度と行かないと確約することを、首脳会談の前提条件として中国政府は要求している。)

「The main bone of contention between Japan and its neighbors regarding the shrine is generally considered to be the enshrinement of 1,068 war criminals, and in particular 14 Class-A war criminals, alongside the souls of millions of Japan’s war dead from all the nation’s conflicts since 1868. But often overlooked in discussions about Yasukuni is the poisonous role played by the Yushukan, the war museum built within the shrine grounds to promote the nationalist ideology that has become known as the Yasukuni doctrine.」
(靖国神社を巡って日本と近隣諸国の間で軋轢が生じているが、14人のA級戦犯を含む1068人の戦争犯罪人が合祀されているのが大きな原因である、と考えられている。1868年以降の戦争で犠牲になった何百万という日本国民の霊もそこに祀られている。靖国神社に関する議論で良く見受けられるのが遊就館の有害性だ。その戦争博物館は神社の敷地内にあり、靖国教義として知られる国粋主義的イデオロギーを喧伝している。)

「As Koichi Nakano, a professor of political science at Sophia University, explains, this doctrine holds “that all the wars Imperial Japan has fought in modern times were wars of self-defense. Therefore, the people who died while fighting for the country’s peace and safety — not only the soldiers, but even nurses and other civilians who were killed on the battlefield — should be commemorated and treated as deities. Also, as a logical conclusion, those conflicts are never treated as wars of aggression.”」
(上智大学の政治学教授である中野晃一氏は、靖国神社の教義を次のように説明している。「近代において天皇の軍隊が行ってきた戦争はすべて自衛を目的としていた。従って、日本の平和と安全のために闘い命を落とした人は英霊として祀られるべきだ。兵士だけでなく、戦場に散った看護婦や市民たちも含めねばならない。論理的な帰結として、これらの戦争は絶対に侵略ではない。」)

「Abe has made no secret of his adherence to this doctrine. He has issued statements casting doubt on the idea that coercion was involved in the recruitment of wartime “comfort women,” questioned the guilt of those convicted of war crimes by the Tokyo tribunal and suggested that Japan’s wars in Asia were defensive rather than aggressive. As a lawmaker in 1997, Abe founded the nationalist Institute of Junior Assembly Members Who Think About the Outlook of Japan and History Education and led the Japanese Society for History Textbook Reform, which released a revisionist school textbook in 2005 that was accused of playing down Japan’s rampage across Asia in the 1930s and ’40s.」
(安倍総理は、この靖国教義に固執していることを隠そうともしない。彼は、従軍慰安婦が強制連行されたことに異議を申し立てる文書を出し、東京裁判で戦争犯罪者たちが有罪判決を受けたことに抗議した。また、日本がアジアで起こした戦争は侵略ではなく自衛であると主張している。安倍総理は一議員だった1997年、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」を立ち上げ、また、「新しい歴史教科書をつくる会」を率いていた。つくる会は2005年に新しい教科書を出版したが、1930年代と40年代に日本がアジアを蹂躙した事実を覆い隠しているとして非難された。)

「A Chinese government statement on the Yushukan goes as far as to call it “the most important part of the Yasukuni Shrine and a key facility to glorify Japan’s war of aggression.” It continues: “A false view of history, embodied in the captions and exhibitions in the museum, blatantly advocates militarism and a wrong perspective on history, glorifies militarists and whitewashes Japan’s acts of aggression.”」
(遊就館は靖国神社の中でも最重要施設であり、侵略戦争を賛美する中核的役割を負っていると、中国政府が声明を出すまでになった。その声明は次のようにも述べている。「その戦争博物館の展示物や表記は間違った歴史観を示している。軍国主義と間違った歴史観を支持し、軍国主義者を称賛し日本の侵略行為を隠蔽している。我々から見れば傍若無人だ。」)

以上

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投稿者:

J IWASAKI

J IWASAKI

大学卒業後、民間企業に長年勤めてきました。 英語学習に関しては殆ど独学ですが、TOEICで950点に到達しました。 このブログでは、私が効果的と考えている英語学習方法を紹介しています。 また、英語ニュースに関しても自分の考えを交えながら解説しています。 出来る限り平易に書いていますので、気軽に読んでください。