英字新聞で情報を得よう！（24）・・・原発マネーの恐ろしさについて考える

　2014年8月3日、九州電力玄海原発が立地する佐賀県玄海町の町長選挙投開票が行われ、原発推進派の現職：岸本氏が当選しました。投票率は80.69％とかなり高く、開票結果（確定）は、岸本氏２０９９票、中山氏１７６９票、山口氏８６票となっています。当選した岸本氏だけでなく、次点の中山氏も原発推進派です。原発再稼働反対を掲げて立候補した山口氏は僅か86票でした。すなわち玄海町の住民のほとんどが原発を容認しているということです。

　地方自治の原則に則り、その地域でどのような政策を実施するかは地域の人たちで決めればいいことです。法律に反することをやっている訳ではないので、部外者が非難する資格はありません。但し、地域外の人間であっても意見を言うことはできます。

　国からの原発関連交付金や電力会社からの寄付金など、いわゆる原発マネーが玄海町の歳入に占める割合は約7割です。その原発マネーの使い道が町長選の主な争点だったのです。原発マネーや原発関連産業に身も心も依存しており、それ無しでは生きていけない状態なのです。もちろん、原発に依存しない街づくりは皆で知恵を出し合えば可能なのですが、考える気力すら失っているのですね。

　日本に最初に原発を導入した政治家である中曽根康弘元首相（自民党）は「原発建設候補地の住民の顔を札束でひっぱたいてやるのだ」と言っていました。最近では、自民党の石原環境大臣が「最後は金目でしょ」とニヤニヤしながら発言して物議を醸しました。彼らのような原発推進政治家の術中にはまって、玄海町の人たちは原発マネー無しには生きられなくなってしまいました。恐ろしいことです。

　原発マネーや原発関連産業に依存しているといっても、それで日々の生活が成り立っているのであれば部外者が文句を言う話ではありません。しかし、再稼働した玄海原発が事故を起こしたらどうするつもりなのでしょうか？福島県の人たちは「原発があんなに恐ろしいものだとは知らなかった。情報が無かったので仕方なかった。」という言い訳がまだ通用すると思います。しかし、福島第一原発の事故以来、原発の危険性に関する情報は十分に得られる状況になっています。佐賀県玄海町の人たちは原発の負の側面を知るチャンスがあり、考える時間も十分にあったのですが、その上で原発容認・再稼働の判断を下しました。

　将来、玄海原発で事故が起こり放射能が広範囲に飛散する事態になった時、地元住民の生活は崩壊しますが同情されることはないでしょう。そればかりか、「あの時とんでもない判断をしてくれたな！お前たちの責任だ！」と厳しく非難されることは間違いありません。福島県以上の地獄になることを覚悟すべきです。

　The Japan Timesの2014年8月4日付記事「Pro-nuclear mayor of Saga town with two reactors wins re-election」を以下に引用します。上記の私の考えを参考にしながら読んでみてください。

「The pro-nuclear mayor of Genkai, Saga Prefecture, was re-elected Sunday for a third term.
Hideo Kishimoto, 61, defeated two anti-nuclear candidates. Both of his opponents campaigned on platforms demanding that Kyushu Electric Power Co. halt plans to restart its nuclear power plant in the town.
The Nuclear Regulation Authority has been conducting safety checks on reactors 3 and 4 at the Genkai plant, part of strict new safety standards imposed after the March 2011 Fukushima crisis.
Kishimoto’s re-election comes after two reactors at the Sendai nuclear plant in Kagoshima Prefecture became the first to meet strict new NRA safety standards last month. The watchdog’s official approval to restart those reactors is expected later this month after a period of public comment.」

以上