英字新聞で情報を得よう!(14)・・・川内原発周辺住民へのヨウ素剤配布は何を意味するか?

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 今勤めている会社で私が新人だった頃、工場で研修を受けたことがあります。その時に上司から言われたことを今でも覚えています。

「一番大切なのはケガをしないこと(安全)。二番目が物を壊さないこと。研修で学ぶのは三番目だ。」

 何よりも安全が第一(Safety comes before anything else.)、という原則は工場だけの話ではありません。どの分野のどんな仕事についてもいかなる時でも徹底されねばなりません。人命救助の場面でも、隊員へ危険が及ぶとか二次被害が予想されるときは救助活動を中断します。
 命令に反し危険を顧みず何らかの成果を上げたとしてもマイナスの評価をされるだけです。理由を説明する必要はないですね。安全第一なのです。

 世間では当たり前のこの常識が通用しない分野が例外的に存在します。原子力村という閉鎖空間です。

 鹿児島県の九州電力川内原子力発電所が「安全審査」をパスしたとかで再稼働へ向け準備中です。原子力規制委員会で安全審査をしている田中俊一委員長自ら「基準への適合は審査したが、安全だとは私は言わない」などと発言しています。政府・自治体を含めて関係者全員が危険であることを知っているので、事故が起こった時の責任を問われないように皆が猿知恵を働かせています。

 原発は稼働させなくても危険ですが、稼働させたらもっと危険だし、いつかは事故が起こるということを前提にして、川内原発の半径5km以内の住人に対して地方自治体がヨウ素剤(iodine tablet)を配布しました。公的な正式判断という事実は重いです。「原発が再稼働したら事故が起こり放射能が放出される可能性がある。その時はヨウ素剤を飲んで甲状腺の被爆を防いでください」という公的な意思表示なのです。

 ヨウ素剤は原発事故が起きたら直ぐに服用しなければなりません。放射能を浴びた後ではダメなのです。服用してから一日程度しか効果が持続しないので飲むのが早過ぎてもいけません。周囲の住民には事故を含めて原発の詳細情報がリアルタイムで提供されるんですかね。福島の時と同じで住人への連絡は後回しにするならば、ヨウ素剤を配布しても無意味です。

 また、原発の事故が起こった時に放出される放射性物質はヨウ素だけではありません。たくさんの種類があることはご存知の通りです。「ヨウ素剤を使って、せめて甲状腺への被爆だけは何とか防いでくださいね。」と言われて住民の皆さんは安心なんですかね?半径5km圏内というのは誰が決めたんですか?30km圏内ではないんですか?お金がかかりすぎるから5km圏内に限定したんですか?100km圏内まで広げなくても大丈夫なんですか?・・・・疑問はいくらでも出てきます。

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 繰り返しになりますが、危険だと分かっていて作業を進めるのは一般社会ではあり得ない異常なことなのです。当たり前のことが通用しない原子力村は異常な世界です。「ヨウ素剤の配布」は、その異常性を象徴的に表しています。

 The Japan Timesの2014年7月27日付記事「Kagoshima residents near Sendai nuclear plant given iodine tablets」を以下に引用します。上記の私の考えを参考にしながら読んでみてください。

「Local authorities in Kagoshima Prefecture on Sunday started handing out iodine tablets to residents living within 5 km of the Sendai nuclear power plant, which may be restarted in the fall.
It is the first time iodine tablets have been distributed under guidelines instituted by the Nuclear Regulation Authority, which was set up in the wake of the 2011 Fukushima nuclear disaster. Iodine tablets help people protect their thyroid glands from radiation.
The move by the Kagoshima prefectural and Satsumasendai municipal governments came after Kyushu Electric Power Co.’s Sendai plant cleared a key safety hurdle for restarting operations earlier this month.
About 2,700 of the roughly 4,700 residents over 3 who live within the 5-km radius were given a supply of tablets after hearing an official briefing, submitting medical interview sheets and receiving the green light from doctors, according to prefectural officials.
Briefings for the remaining residents will resume in September, they said.
A total of 39 residents declined to receive the tablets. Children under 3 will receive the equivalent at shelters in the event of a nuclear accident, the officials said.」

以上

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投稿者:

J IWASAKI

J IWASAKI

大学卒業後、民間企業に長年勤めてきました。 英語学習に関しては殆ど独学ですが、TOEICで950点に到達しました。 このブログでは、私が効果的と考えている英語学習方法を紹介しています。 また、英語ニュースに関しても自分の考えを交えながら解説しています。 出来る限り平易に書いていますので、気軽に読んでください。