私がまだ20代の若手社員だった頃、年配の社員が、「サラリーマンの給料は我慢料だ。」と話しているのを聞いたことがあります。その時はピンとこなかったのですが、今では良く理解できるようになりました。
サラリーマンは基本的に人に使われる立場ですのでストレスから逃れることが出来ません。精神的な疲労で免疫力を低下させる厄介な代物のことです。このストレスを低減させる有効な手段がコミュニケーションです。
他人から相談を受けて問題解決のための方法を一緒に考え、遂に結論に辿り着いたときは感謝されますし、こちらも清々しい気持ちになります。自分が困った時に相談に乗ってくれる人間が周囲にいると本当に心強いですね。
問題解決のための話し合いに限りません。気軽な雑談でもいいのです。ちょっとした声掛け、時候の挨拶などでも、「私はあなたのことを気にしてるんですよ。」というメッセージを届けるには十分です。人間は感情の動物ですから、ちょっとした気遣いが職場でのモチベーション(動機付け)に大きく影響します。
私は昔、このちょっとした声掛けすらできない上司に何年も仕えていたことがあります。精神的に参ってしまい、サラリーマン生活の中でも最悪の時期として記憶しています。
以下は、この上司の具体的な行動例です。
・事務的で一方的な連絡・指示に終始する。
・雑談を一切しない。用が無ければ何日でもしゃべらない。
・挨拶をしても無視することが多い。
・自分と異なる意見・考え・やり方を圧殺する。
・一緒に食事をするときでも自分で話題作りをしようとしない。周りに気を使わせる。
・資料や報告書を提出しても、内容確認後にハンコを押して返却するだけ。感想ひとつ言わず黙って返却するだけ。
・感謝やほめ言葉を口にしない。
・部下を自分の手足のように使うことに何のためらいもない。
・直接相談が出来ない雰囲気を作っており、仕方がないので電子メールや文書でのやり取りになってしまう。
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私が個人的に嫌われているのかな?、と考えたこともありましたが、他のグループや部門の人も同様の印象を持っていました。以下は私が実際に聞いた、この上司への悪口です。
「そっちのグループだけ空気が澱んでいるぞ。」
「あー、あんなのと同じグループじゃなくてよかった。」
「なにあの人? 威張っているだけか?感じが悪い!」
「やりにくそうな人・・・」
しかし、優秀な面もあるのです。
・実務能力はぴか一
・時間管理がしっかりしており、残業が少ない。
・頭脳明晰
・論理的で解り易い日本語を話し、声も良く通る。
・素早く的確な判断を行う。言われた通り動いていれば殆ど間違いない。
・豊富な知識と経験を持つ。
・物事のチェックは厳密であり、細かいことにも手抜きをしない。
傍目には優秀な先輩であり、学ぶところ大なのは確かです。会社としては仕事をうまく回してくれるのでありがたい存在なのでしょう。しかし、下で使われる部下はたまったものではありません。どうしてもモチベーションが最低レベルになってしまうのです。この時期は明らかに自分の意思で生きているという感覚が乏しかったです。こちらから何かを提案したという記憶も殆どありません。「給料をもらっているんだから我慢しろ!」と言われて納得できるものではありません。胃が痛くなり、朝起きるのも辛い状態がずっと続いたのです。
この上司の性格は、エニアグラムでのタイプ1に相当します。自分で絶対に正しいと信じる基準を持っており、周りの人間にもそれに従うことを要求する傾向が強いのです。その一方で他人から批判されることを常に恐れており、後ろ指をさされないように行動や言動には細心の注意を払っています。
このタイプ1に分類される性格自体は良くも悪くもありません。タイプ1の性格だから上司に向いていない訳ではありません。彼が自分自身に対する理解が乏しく、行動・態度を改善する必要性を感じていなかった、ということが問題なのです。
エニアグラムについては、下記を参考にしてください。人間の性格分類・特徴などを体系的に理解できるので中々興味深いです。
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コミュニケーションの改善方法:
この上司の下で5年以上仕えましたが、まともにコミュニケーションするための有効な手立ては見出せませんでした。心に鎧を着ているような人でした。もし彼にアドバイスできる立場になったら、次のように言いたいですね。
「雑談をしろとは言いません。ごく簡単でも良いので一日一回部下に声掛けくらいはするように心がけて下さい。」
ちょっとした心遣いが大きな違いにつながりますから・・・・。
以上