英字新聞で情報を得よう!(27)・・・冤罪事件から人質司法の恐ろしさを考える

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 元プロボクサーの袴田巌さん(78)が48年ぶりに警察の拘束から解放されたニュースをご存知ですか?1980年に最高裁で死刑判決が確定してから実に34年間も裁判のやり直しを求め続け、それがようやく認められたのです。警察による証拠捏造の疑いがありこれ以上の拘束は正義に反すると裁判所が判断し、釈放されたのです。まだ法的に無罪が確定している訳ではありませんが、ギネス記録になるような長期間の拘束は明らかに異常です。当の袴田さん自身は拘禁反応により精神状態がおかしくなりコミュニケーションをとることが難しくなっているそうです。

 「こんなケースは特殊でしょ。私には関係ない話だ。」と思っている人は多いと思います。しかし、警察により犯人に仕立て上げられ長期間不当な拘束をされている人は多く、人質司法といわれている悪名高い慣習は何十年も全く改善されていないのです。

 警察に犯人だと決めつけられたら逮捕されるだけでなく、弁護士の助けも得られず長期間拘束され精神的に耐えがたい長時間の取り調べを受けます。ほとんど全ての人間は耐えられなくなり嘘の自白をさせられ署名捺印してしまうのです。袴田さんのケースでもそうですが、警察による証拠のねつ造や隠ぺいなどは珍しくありません。警察官といえども神ではありませんから、組織の論理が優先すればも犯罪に手を染めてしまうのです。検察が起訴した場合は裁判で有罪判決になる確率は100%近いのですが、被告弁護側が如何に不利な状況に置かれているかこの数字は示しています。

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 不当に犯人に仕立て上げられた人は社会的な信用・時間・お金を失い、人生を滅茶苦茶にされます。取り返しがつかないのです。真犯人が別にいるならば野放し状態にすることなるので、新たな事件が発生し更なる犠牲者が生まれる可能性があります。

 袴田さんのケースでは真犯人は誰なんでしょうね。1966年、静岡県の味噌製造会社で4人が殺された強盗殺人放火事件には真犯人がいるはずです。殺された4人の犠牲者は、真犯人の特定と再発防止策を誰よりも求めている筈です。静岡地検は「袴田元死刑囚の釈放と再審決定は予想外だ。」と語っていますが、犠牲になった4人に対して自信をもって説明することができるのでしょうか。

 無数に発生している冤罪事件を防止するための有効な手立ての一つが取り調べの可視化ですが、警察側は執拗に抵抗していますね。100%の可視化が実施したら今まで通りの仕事のやり方を続ける訳にはいかなくなることは確かですが、長い目で見れば警察の利益になると思います。内閣の最高責任者である安倍総理は憲法をねじ曲げられるだけの強大な権力を持っているのですから、こっちの方面で是非協力して欲しいですね。

 「真実を探すブログ」さんの次の記事も参考にしてください。

【速報】袴田さんの釈放が決まる!48年ぶりに警察から開放!48年の拘束は世界一の記録に!

 最後に、Japan Press Weeklyの2014年3月28日付記事「Supporters’ efforts lead to court decision to free death-row convict」を以下に引用します。上記の私の考えを参考にしながら読んでみてください。強い感情を伴いながら読めば、見知らぬ英単語も覚え易いし忘れにくいですよ。

「The Shizuoka District Court decided on March 27 to reopen a murder case and release a 78-year-old death-row inmate after nearly 48 years in detention. This decision was attained by the inmate’s and his supporters’ unceasing struggles.
In June 1966, four members of a family who ran a soybean processing firm in Shizuoka’s Shimizu City (now Shimizu Ward in Shizuoka City) were stabbed to death and their house was burned down. The police arrested Hakamada Iwao, a 30-year-old live-in employee at the firm, and the prosecution indicted him for robbery and murder.
In September 1968, the Shizuoka District Court rejected the plaintiff’s claim of innocence and sentenced him to death. The court ruling was upheld by the Tokyo High Court in 1976 and it was finalized by the Supreme Court in 1980. For nearly 34 years since then, Hakamada and his lawyers have repeatedly filed pleas for retrial.
This time, the district court approved DNA test results indicating that Hakamada’s blood was not the blood found on clothing which he is said to have worn at the time of the crime. Pointing to the fact that investigative authorities had deliberately hidden the firm’s employee’s testimony backing Hakamada’s alibi and the possibility that they cooked up incriminating evidence, the court made the decision to retry the case.
At a gathering after the decision was announced, Sano Kuniji, secretary of the Shizuoka prefectural branch of People’s Aid and Relief Society (Kokumin Kyuenkai), said, “I’m so happy that we have supported Hakamada and finally won. A number of supporters died during the long-running struggle. I want to visit their graves and report this news to them. Next, let’s work together to win a judgment of acquittal.”
Sakurai Shoji, a 67-year-old man who was sentenced to life imprisonment in another robbery and murder case and got an acquittal in 2011, 44 years after the incident, said, “When I waited for this decision, my heart was beating faster than in my case. Prosecutors resort to whatever means needed in order to make a suspect guilty. We cannot tolerate such injustices any more.”」

以上

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投稿者:

J IWASAKI

J IWASAKI

大学卒業後、民間企業に長年勤めてきました。 英語学習に関しては殆ど独学ですが、TOEICで950点に到達しました。 このブログでは、私が効果的と考えている英語学習方法を紹介しています。 また、英語ニュースに関しても自分の考えを交えながら解説しています。 出来る限り平易に書いていますので、気軽に読んでください。