2014年の8月9日、長崎の平和祈念式典で田上長崎市長が集団的自衛権に関して言及しました。内容としては下記の通りです。
・政府は集団的自衛権の行使容認の議論をあまりに急いで行っている。
・戦争放棄という平和憲法の理念が揺らいでいる。
・多くの国民は心配している。
公務員出身の田上長崎市長は特別過激な思想を持っている訳ではないので、上記のような無難で常識的な内容の発言を平和宣言の中で行いました。確かに集団的自衛権に関する言及は去年までにないことですが、当たり障りのない発言という印象を私は受けました。この程度のことに対して文句を言う人が果たしているのかなあ、と思っていたら、やはり自民党の中から現れました。
平和祈念式典の当日8月9日に自民党の土屋正忠衆議院議員が自身のブログ上で批判のコメントを載せたのです。彼が言いたいことは要するに、「一市長の分際で国政に口を出すな!」ということです。さらに土屋議員は次のようにも語っています。
「長崎市長は歴史的経験を踏まえた核廃絶について語るから権威がある。集団的自衛権という具体的政治課題に言及すれば権威が下がる」
何が言いたいんだかさっぱり解りませんね。今回の平和宣言での発言で田上長崎市長の権威は何も損なわれていませんから、土屋議員が心配する必要はありません。もしも、現在の社会状況において集団的自衛権に何も触れないような形だけの平和宣言で済ませていたら、逆に長崎市長の権威は下がり国民から厳しい非難を浴びていたことでしょう。
今のところ批判という行動に出たのは土屋正忠衆議院議員だけですが、自民党の中には同じように文句を言いたい人がたくさんいると思います。なぜ文句を言いたいのでしょうか?大した理由ではないと思います。例えば、・・・
・毎年かならずトップニュースになる長崎の平和祈念式典で集団的自衛権が批判されると内閣支持率がさらに下がってしまう。次の選挙で俺が落選することになったら大変だ。追従者が現れないように圧力をかけないと・・・
・市長などは国会議員よりも格下なのに、国政に意見をするなど生意気だ。気に食わないから説教してやらないと・・・。
2014年8月9日の平和祈念式典では田上市長以上に厳しい政府批判を展開した人がいます。被爆者代表の城台(じょうだい)美弥子さん(75)です。批判の要旨は下記の通りです。
・集団的自衛権の行使容認は平和憲法を踏みにじる暴挙である。
・放射能の影響に苦しんでいる人が大勢いるのに原発再稼働をするな。
・原発は廃炉せよ。
田上市長よりも厳しい言葉を使い、集団的自衛権だけでなく原発政策にまで言及しています。但し、過激と形容されるべき内容ではなく、当たり前の正しいことを言っただけです。死の商人や原発マフィアには理解できないでしょうが、そうでなければ問題なく理解し受け入れられる内容です。問題ない発言とはいえ、この被爆者代表が喋っている間、安倍首相はつらそうな表情をしており途中から目をつぶってしまいました。この表情はテレビカメラでもずっと大写しされていましたから、支持率にかなり悪影響を及ぼしたでしょう。
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安倍政権にダメージを与えた被爆者代表に対して批判の声をあげる政治家は今のところ現れていません。市長に対しては文句を言えても一市民には言えないのは何故でしょうか?理由を考えてみました。例えば、・・・
・69年前に実際に被爆した経験を持つ人の言葉は力強く、信念・哲学を感じさせる。自己保身するだけが精一杯の器の小さい政治家ではとても太刀打ちできない。
・被爆者代表の演説はとても素晴らしく、テレビ画面の前で感動した人が大勢いることを知っている。下手に批判などしようものなら、内閣支持率を余計下げてしまう結果になることは明らかである。
・同じ政治家同士であれば「市長の分際で国政に口を出すな!」という詭弁を弄することもできるが、一市民相手では体の良い言い訳が思い浮かばない。
・忘れっぽい日本国民のことだから、時間が経つのを待つのが最善の策だと判断した。
もしも一年後まで安倍政権が続いていたら、黙って今年と同じような平和宣言をさせることはないでしょう。「頭のいい」自民党政治家たちは次のような対策を打ってくると思います。
・平和宣言で演説する人のリストを事前に提出させ、気に入らない人は排除するよう工作する。
・実際の演説内容原稿を検閲し、気に入らない内容は修正させる。
・苦しそうな安倍総理の表情を継続的に大写しすることがないように、より一層厳重な報道規制を行う。
「真実を探すブログ」さんの下記記事も参考にしてください。
長崎市長の平和宣言を自民議員が批判!土屋正忠衆議員「集団的自衛権という政治課題に言及すれば権威が下がる」
長崎平和祈念式典、被爆者代表が安倍政権を痛烈批判!「集団的自衛権は平和憲法を踏みにじる暴挙!原発輸出・武器輸出はするべきではない」
最後に、毎日新聞英語版の2014年8月11日付記事「LDP lawmaker raps Nagasaki mayor for national security policy remark」を以下に引用します。上記の私の考えを参考にしながら読んでみてください。強い感情を伴いながら読めば、見知らぬ英単語も覚え易いし忘れにくいですよ。
「A ruling Liberal Democratic Party lawmaker has criticized Nagasaki Mayor Tomihisa Taue for referring to the nation’s security policy in his speech at the annual ceremony of the U.S. atomic bombing of the southwestern Japan city.
“If he wants to speak about a political choice about maintaining peace, he should resign as Nagasaki mayor and run in a national election,” LDP House of Representatives member Masatada Tsuchiya said in his blog posted on Saturday.
In his speech on Saturday, Taue called on Prime Minister Shinzo Abe’s government to heed public concerns over its security policy, saying the rushed debate over collective self-defense has given rise to concern that the principle of renouncing war in the Japanese Constitution is wavering.
Tsuchiya said in his blog that Cabinet approval of the policy to expand the Self-Defense Forces’ defense capabilities by reinterpreting the pacifist Constitution is “one of choices by practical politics.”
“The Nagasaki mayor has authority because he speaks about the elimination of nuclear weapons based on historical experience,” Tsuchiya said. “This authority will weaken if he mentions specific political issues such as collective self-defense.”
Mayor Taue told reporters Monday that people have differing opinions. “It is important that the present feelings of Nagasaki were conveyed and (the message) needed to be delivered as the Peace Declaration,” he said.」
以上
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