「大学入試のために受験英語は勉強した。しかし、入学後は1〜2年で必修科目のため仕方なく勉強したのみ。3年以降は何も勉強せず企業へ就職する。就職後も仕事上で特に英語を使う機会がなく長い年月が経過・・・・」
上記のようなパターンを辿ると英語そのものに対する違和感が大きくなり、文法や単語の知識も錆びついてきます。私が勤めている会社の後輩もそのような状態らしく、TOEICの点数も300点未満のまま長らく停滞しているようでした。
しかし、会社の方針転換もあり、英語学習の必要性は感じているらしいので質問してみました。
「どんな方法で英語を勉強しているの?」
→「単語帳を使って勉強しています。」
私自身、単語帳を使って勉強した記憶が殆どないので、最初はピンときませんでした。英単語だけを一つ一つ覚えていくというのは如何にも退屈そうで、修行僧のような強い意志を持った人でないと継続不可能ではないか、と感じたのです。そこで、さらに質問しました。
「英単語帳による勉強は辛くないか?面白く無さそうに思えるけど、続いているの?」
→「いやー、最近はサボり気味です。」
「何で、単語帳による勉強方法を選んだの?」
→「長らく勉強していなかったので英文に対する違和感がすごく強くなってしまったんです。だから、違和感を少なくするために、まず英単語を覚えようと考えたんです。大学受験の時以来、時間が経ったせいもあり大分忘れてしまったので・・・・」
スポンサーリンク
英単語帳を使うのは悪いことではありません。忘れかけたものを思い出し、記憶を定着させるのに有効でしょう。英語に対する違和感だって多少は減ると思います。Readingの時に、知っている単語が多い方が理解の助けにもなります。
しかし、英単語のみに着目し、それをひたすら覚えるという学習方法は余り楽しいものではありません。休みの日に趣味の延長として取り組むには無理があります。辛い作業はどうしても後回しになります。覚えたものをすぐに忘れてしまうことも多いでしょう。
単語を覚えるだけの作業は辛くて継続が難しいのはなぜでしょうか?逆にいうと、取組み易く、継続容易で、効率的な方法は何でしょうか?
学習心理学の見地からいうと、喜怒哀楽などの強い感情が伴っているときに勉強したことは記憶に残りやすいことが判っています。
例えば、事故を目撃した時、事故を起こした時、怪我をした時、大切な人を失った時、などがそうです。そういう一大事が起こったときの記憶は何年たってもはっきりしています。私自身の体験でも、近い親族が亡くなった前後の記憶は、10年、20年経っても全く忘れる気配がありません。
英語学習で例えばReadingを行う時は、普段よりも強い感情を呼び起こすような状況を作り出せば文章や単語を覚えやすくなります。一例を挙げましょう。
福島県の東京電力第一原子力発電所事故の後、膨大なお金・時間・労力をかけて除染作業を続けても余り効果は上がらず、地元住民は元の生活を取り戻す目途が立っていません。このような深刻な状況を思い浮かべながら、
「It will take a lot of time to complete the decontamination work.」
、という文章を読めば、「decontamination」という難しい単語も覚えられます。
つまり、自分が興味を持っているテーマの英文記事を教材として選び、普段よりも強い感情を呼び起こしつつ繰り返しReadingすれば記憶が定着し易くなる訳です。逆に、興味がないテーマの英文記事を無理に読んでもすぐに眠くなってしまいます。それは、母国語である日本語でも同じことです。
貴重な時間を使って英語学習をするのであれば、記憶の定着のし易さという観点から考えて効率の良い方法を選択したいものです。
以上
新品価格 |