英語になった日本語の紹介(4)→「karoshi」

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残業する男性
 私は長年サラリーマンをしておりますので、組織の中で人に使われることの悲哀を理解しているつもりです。悲哀を感じる程度で済むのであれば、まだ恵まれているのかもしれません。職場での「過労死」がニュースなどで頻繁に報じられると、この国は一体どうなっているんだ、と思ってしまいます。取り返しのつかない「過労死」が発生した会社では、管理職や経営者は自分の身を守るだけで手一杯だったのかもしれません。しかし、遺族の心の傷に塩をすり込むような見苦しい言い訳を並べている姿は見るに堪えません。

 このブログでは、「過労死」の現象、原因、対策、社会的・心理学的背景などを詳しく述べるつもりはありません。しかし、「過労死」があまりにも世界的に有名になったために「karoshi」という英語が生まれてしまったことは指摘したいと思います。

 「karoshi」が初めてOxford 辞書に登録されたのは2002年だそうです。英語としての歴史は長いとは言えません。Oxford English Dictionary Online によると、次のように定義されています。

「death brought on by overwork or job-related exhaustion – a reflection of the strains imposed by Japan’s strong work ethic.」

 ちなみに私の手元にあるOxford Advanced Learner’s Dictionary 第8版(オックスフォード大学出版局)には載っていませんでした。

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 Washingtopost:2008年7月13日付の記事では、「Japan’s Killer Work Ethic」と題して次のような文章が書かれています。

「TOKYO — Death from too much work is so commonplace in Japan that there is a word for it — karoshi.
There is a national karoshi hotline, a karoshi self-help book and a law that funnels money to the widow and children of a salaryman (it’s almost always a man) who works himself into an early karoshi for the good of his company.」

 「過労死」を意味する単語は、英語圏には元々無かったのでしょうか?もしあれば、それが使われている筈ですから、きっと無いんですね。日本でよく見られる異常現象として外国人は認識しており、それを一つの単語で表す必要に迫られたんですね。しかし、どうしても既存の英単語の中では見当たらない。そこで仕方なく、「過労死」をローマ字にした「karoshi」を英単語として使うようになったのでしょう。

 日本語が英語に借用されるケースは好ましいものばかりではありません。「karoshi」は明らかに不名誉なことです。しかし、私たち日本人が努力をして「karoshi」という悲劇を根絶すれば、いずれ死語となり英語の辞書からも消える日が来るかもしれません。逆に現状をこのまま放置すれば、どの英語辞書でも必ず掲載されるほど有名な英単語になってしまう可能性もあります。

 今後「karoshi」以外に、次のような新しい英単語が生まれることが無いよう祈るばかりです。

「black-corporation」(ブラック企業)
 ↓
「companies who intentionally or knowingly ignore labor laws and/or drive their workers hard by harassment or other aggressive means」注)

注)「Japan Press Weekly」2013年6月28日付の労働関係記事 タイトル「8 companies nominated for ‘Black Corporation’ of the Year Award 」から引用。

以上

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投稿者:

J IWASAKI

J IWASAKI

大学卒業後、民間企業に長年勤めてきました。 英語学習に関しては殆ど独学ですが、TOEICで950点に到達しました。 このブログでは、私が効果的と考えている英語学習方法を紹介しています。 また、英語ニュースに関しても自分の考えを交えながら解説しています。 出来る限り平易に書いていますので、気軽に読んでください。