皆さんは英語の学習というと何を思い浮かべますか?私は英語学習を下記の5種類に分類しています。
①聞くこと(Listening)
②読むこと(Reading)
③しゃべること(Speaking)
④書くこと(Writing)
⑤文法(Grammar)
①のListeningと②のReadingは外から情報を受け取る作業なので、いわゆるインプットにあたります。受け取り側がどう感じるかは情報発信側の事情に左右されます。
➂のSpeakingと④のWritingはアウトプットです。自分で考えをまとめて自分の責任で発信する必要があります。これらについても、情報を受け取る相手側が正しく理解してくれるかどうかは、発信者側の力量に負うところが大きいです。
⑤の文法は①〜④の作業を支える土台のようなものです。文法を理解せずに①〜④の学習を行っても正しい英語を身に付けることは難しいです。文法に関しては、①〜④の学習作業で不明点が出てきたらその都度調べるというのも一つの方法です。しかし、そういう方法は穴を無くすまでにとても時間がかかります。文法書を最初に全て読み込み習得してしまうのが一番早いでしょう。
文法を全て習得することを前提として話を先に進めます。
さて、実際の英語学習では①〜④の各作業のうち、どれをどのくらいやればいいのでしょうか?一般論としては、全ての項目をバランスよく実施するのが理想です。しかし、これでは中々具体的なイメージが湧かないと思います。
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ここで、①〜④の各項目について、英語を使っている場面を列挙してみましょう。
①Listening
英語のニュースを見る。洋画を観る。電話をする。会議に参加する。公演を聞く。通訳として外国人の話を聞く。その他。
②Reading
英字新聞を読む。電子メールを読む。取扱説明書を読む。本を読む。WebSiteをチェックする。報告書類をチェックする。日本語へ翻訳するために英文を読む。その他。
➂Speaking
英語で目の前にいる人と対話や議論を行う。電話で話をする。会議に参加して意見を言う。多人数を前に講演や演説を行う。通訳として日本語を英語に直して話す。その他。
④Writing
英語で報告書を書く。日記を書く。電子メールの返事を作成する。取扱説明書を作成する。記事を投稿する。日本語を英語へ翻訳する。その他。
英語学習者は、自分が英語を使用する場面を具体的に思い浮かべて、上記①〜④のうちどれを重視すべきか決めればいいと思います。仕事の種類によっては、WritingとReadingは必要だがListening とSpeakingは殆ど要求されない、というケースもあります。当然、その逆もあり得ます。事情は人により様々でしょうし、どの技能に重きを置くべきかは最終的に自分で判断しなければなりません。①〜④すべてを高いレベルで要求されるケースはむしろ少ないのかもしれません。
ここで、英語ではなく、母国語としての日本語を使用する場面を考えてみましょう。
①聞くこと、➂しゃべること
山に籠って修行をしている人は別として、聞くこともしゃべることもせずに丸一日を過ごす人は殆どいないと思います。普通の人は、一日の中で何かしら日本語を聞いたりしゃべったりしています。しかし、その実行頻度や量は個人の事情によりバラツキがあります。営業系の仕事であれば直接のコミュニケーションが重視されます。研究所の中で物を相手に試行錯誤している場合は、一日中ほとんど誰ともしゃべらずに済むかもしれません。
②読むこと
仕事上、大量の文書を読まなければならない人や、読書が好きで活字中毒の人は読むという作業を頻繁に実施しています。その一方で、1か月に一冊も本を読まない人がいることも確かです。また、工場などで現場作業をするときは、定型化された文書しか見る機会がない、ということもあり得ます。
④書くこと
これも人により作業量が異なります。文章をほとんど書かずに生活ができてしまう人も意外に多いかもしれません。電子メールは多くの人が利用すると思いますが、大量の文章によるしっかりとした意思表示をする人から、返事レベルのやり取りしかしない人まで様々です。会社勤めの人は報告書類を作成する場合がありますが、定型化されて負荷の少ないものもあれば、独創性を必要とする大論文もあります。作家や新聞記者は一生の間に大量の文章を世に送り出すと思いますが、こういう立場の人は少数派でしょう。
以上、色々と例を挙げましたが、日本語であっても個人により、①〜④の4技能を実行する頻度や求められるレベルが異なることが解ります。従って、①〜④の4技能のうちどれが得意でどれが不得意かは個人により全く異なります。4技能の全てが高レベルであるという人は稀だと思います。多くの人が、偏りのある不完全な日本語能力しか持っていなくても、ほとんど不自由さを感じることなく毎日を過ごせています。
日本語であってもこのような状況ですから、第二言語としての英語において①〜④の運用能力にバラツキがあっても構わないと思います。皆さんは、自分に求められる英語能力の種類とレベルを冷静に見極めたうえで、学習に取り組むようにしたらいかがでしょうか?
以上
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