外国人と一緒に働くと聞いて、皆さんはどんな場面を思い浮かべますか?次のようなイメージですか?
・海外の企業に就職し、外国人の同僚・部下・上司に囲まれて働く。
・外国人比率が高い日本国内の外資系企業で、英語のみを用いて働く。
私がこれから紹介するのはその逆になります。日本人ばかりの日本国内企業にネイティブのアメリカ人が飛び込んできた、というパターンです。国籍がどこであれ一緒に仕事をするからには仲良く協力し目的を達成しなければなりません。しかし、日本人同士だけで仕事をするとき同じ方法で構わない、という訳にはいきません。言葉・習慣・価値観の違いを乗り越えながら業務を一緒に遂行するとういう柔軟性が求められます。私が紹介する色々なエピソードが、何らかの参考になれば幸いです。
私の勤める会社は長い歴史をもつメーカーで、日本に本社が置かれていますが世界中に拠点を持っています。売上高比率は国内よりも海外の方が多く、海外のグループ会社では現地の外国人が従業員として採用されています。しかし、日本国内に勤める従業員はほとんどすべてが日本人です。私は長年、日本国内で研究開発職に就いています。
2012年の秋頃、一人のアメリカ人青年が中途入社してきました。ここでは名前をJさんと呼ぶことにします。私が勤める事業所の私が所属する部門・グループにJさんが配属される、と上司から話がありました。日本語がほとんどダメ、という事前情報があったので「言葉が通じないと指導ができないよ・・・」、と上司も心配そうでした。日本語が堪能なアジア系外国人であれば、少数ですが社内に事例があります。しかし、日本語が不自由なネイティブアメリカ人は私も記憶がありません。社内でのTOEIC受験が奨励され、私も英語を本格的に勉強し始めていましたが、生のアメリカ人とコミュニケーションした経験はほとんどありません。仕事での付き合いとなれば皆無です。正直、一抹の不安を覚えました。
スポンサーリンク
関係者が会議室に集められ、そこでJさんが紹介されました。Jさんは長身の白人青年で、少しシャイな印象を受けます。最初にJさん自身に自己紹介をしてもらいました。「日本語がうまくしゃべれないなら英語でいいよ」、と部長が配慮を見せました。Jさんの説明要点を以下に記します。
・この会社に入社でき、みなさんと仕事をできることを光栄に思います。
・ある合同会社説明会でこの会社の製品紹介ビデオを見て感銘を受け応募しました。
・アメリカの大学では技術系分野を専攻し大学院も出ています。
・交換留学生として数年前に日本に来て、それからずっと日本に住んでいます。
・ここに来る前は日本国内の別のメーカーで働いていました。そこは外国人ばかりなので英語だけのやり取りをしていました。
Jさんは意識してゆっくりしゃべってくれたので皆が助かりました。その後、組織や仕事内容の説明を部長が英語で行いました。多分、日本語でもJさんに何とか通じたと思いますが、率先して英語を使おうという姿勢が読み取れました。私自身は良いチャンスだと思いましたので、Jさんとのやり取りは今後全て英語で行おうと決めました。「Speaking Japanese is prohibited between us!」(私)→「OK! That’s easy for me.」(Jさん)
Jさんのその当時の日本語能力は以下の通りです。
・聞き取りは何とかできる・・・?
・しゃべるのはほとんどダメ。
・読むのは少しできる。
・書くのは苦手・・・というよりほとんど無理。
・文法の基礎ができていない。
交換留学生として初めて日本に来た時は、日本語の知識が完全にゼロの状態だったそうです。外国に長期滞在するのに言葉の勉強を事前に全く行わないというのは、私には理解できませんでした。こういうのを「勇気がある」と評価すべきなのでしょうか・・・?
Jさんは気遣いが出来る好青年という印象を受けます。お辞儀の仕方もうまいです。日本語の運用能力は低いですが、滞在期間が長いので日本の文化や習慣に馴染んでいるようでした。また、状況や文脈からこちらの意図を読み取るのがうまいので、コミュニケーションはし易いと感じました。その頃のニュースでよく使われていた表現「greed」とは程遠かったです。
次回に続きます。
![]() |
英会話フレーズブック―リアルな日常表現2900 (アスカカルチャー) 新品価格 |
![]() |
新品価格 |