アメリカ人同僚:Jさんとの交流記5回目です。
私の勤める会社ではメーカーとして多種類の商品を作っていますが、全世界に輸出されるため取扱説明書の英語版を添付することが珍しくありません。従来は社外の翻訳家に英訳を依頼することがほとんどでしたが、最近は社内で行うケースが増えてきました。今回、社内で担当している新製品の取扱説明書英訳を私とJさんが行うことになりました。各人のスキルは以下のような状況でした。
私:
職種は技術系の研究開発であり、和文英訳の経験は少ない。過去の英語版取扱説明書を確認して、似たような内容・表現を参考にしたいと思っている。
Jさん:
英語を日本語に直すのは難しいが、その反対ならば何とかなりそうである。日本語の文法知識が多少欠如しているので、我々日本人スタッフと同レベルで日本語を読み・理解することはできない。しかし、技術専門分野に関する知識がそれを補ってくれると思う。
英訳の共同作業スタイル:
①取扱説明書の日本語をJさんに渡して英訳してもらいました。しかしそれだけでは彼も辛いと思いましたので、過去の類似した取扱説明書の日本語版と英語版をセットで彼に渡し参考にしてもらいました。
↓
②Jさんが英訳した後で私がチェックしました。
上記が基本スタイルですが、「私が日本文を英訳し、それをJさんがチェックする」、というケースも少しはありました。
トラブル事例:
英訳以前に日本語が不適切なため、思うように仕事が進みませんでした。列挙すると・・・
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・何度読み返しても何を言いたいのかさっぱり解らない。
・誤字脱字が多い。
・表現が不適切なので、真意が正確に読み手へ伝わらない可能性が高い。
・基本的な日本語作文技術が欠如しているので判りにくい。(修飾語、読点の位置など)
上記を放置したままJさんに渡すと悲惨な結果になることが明らかだったので、まず、私の方で日本語の修正作業をしなければなりませんでした。修正以前に、担当者へ内容を確認する必要もあったのでかなり時間を要しました。
英文チェック:
Jさんが作成した英文は、「さすが!」といえるものでした。ネイティブだけあって広いボキャブラリーを持っていることが確認できますし、読んでいるこちらが勉強になります。しかし、ネイティブとはいえ文法上のミスが無い訳ではないので、私の方でも一字一句厳密にチェックしました。
Speakingならば多少の間違いは許されるかもしれません。しかし、同じアウトプットでもWriting(この場合は取扱説明書)では一字一句を厳密にチェックしてから提出する必要があります。理由を以下に記します。
・取扱説明書は商品である。
・リリース後は長年に渡って印刷物やデータが残る。
・社内外の色々な立場の人が読むことになる。特に社外のユーザーにとっては、困った時に最初に頼りにするのは取扱説明書である。
・将来的に新しい取扱説明書が作成されるときには、旧バージョンは必ず参考にされる。
・写真や絵を使って理解を助けることはできるが、文字情報により判断されるのが基本である。
Jさんの英文は素晴らしかったのですが、たまに日本語の真意と異なるものを見かけました。この場合、判りにくい日本語が原因になっていることがほとんどでした。
最後に:
もしも私一人だけで取扱説明書の英訳をやっていたら以下のような不都合が生じていたと思います。
・作業が遅くなっていただろう・・・
・似たような表現ばかりに頼って、繰り返し使っていただろう・・・
・不適切な表現や単語が多くなっていただろう・・・
今回は二人で協力して実施したため、結果としてスピードアップと品質向上につながりました。Jさんの協力を得られて本当に良かったと思います。
次回に続きます。
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