給料を貰っている雇われ人は多くの時間を会社の中で過ごさねばなりません。長時間居なければならないならば、快適な環境であるほうが望ましいのは当然です。しかし、自分にとっての快適さを優先し過ぎると周りの人間が迷惑する結果をもたらします。会社内でリーダーと言われる立場の人間が面倒事から逃げ回る行動を取るとどうなってしまうのか・・・? 私の勤める会社内で実際に観察された事例を今回は紹介します。
以下は、このリーダーの具体的な行動例です。
1)部長に催促されてもすぐに報告に行かない。
結果が思わしくなかったり計画より遅れている場合、上司へ報告に行くのは気が重いものです。しかし、だからといって何の返答もせずにそのまま放置したら事態は悪化しますし、上司の不信感も増すばかりです。しかし、このリーダーは面倒くさがって何もせずに放置してしまうんですね。結果、後で部長に怒られることになります。その時の言い訳としては、「いやー、自分の部下が既に報告していたと思いこんでいました。」、が一番傑作ですね。自分の問題として受け入れ反省するという行動には中々つながりません。
2)報告書類の提出が出来ない。
このリーダーは、部下の報告書に押印をした後、自分で部長へ提出しに行くのを嫌がることが多いです。「当たり前の簡単なことなのになぜ?」と思われるのはもっともです。しかし彼にとっては中々難しいことのようです。その提出物に関連してもしも何かトラブルが起こった場合、リーダーとして責任を問われる可能性があります。立場上、押印はしなければなりませんが、部長に直接提出する役割からは逃げたい、という気持ちになることがあるのです。そこで、押印だけして報告書を部下に返却し、部長への提出は部下にやらせるのです。最終的に部長へ提出されるという結果は同じですが、わざわざ遠回りさせるこの行動を周囲の人間は奇異の目で見ています。
3)利害関係者との調整作業ができない。
仕事では社内外の人たちと連絡・調整する作業はとても重要です。ルーチン的なものであれば簡単に済みますが、様々な利害の調整や交渉は一筋縄では行かないことも多いす。一般的には、そういう時こそリーダーの腕の見せ所だと思うのですが、今回紹介しているリーダーはこういう時に殆ど役立ちません。「僕には無理だから・・・」と宣言し、努力することを放棄しています。仕方がないので、彼の部下や他のリーダー・関係者が代わりにその役割を担います。自分自身はリーダーという立場でありながら、他人の判断・指示をひたすら待っている訳です。
4)いわゆる「イエスマン」である
上層部からの指示を部下に伝えるのは管理職の大切な役割だと思います。しかし、上の判断や指示が常に現実的で正しい訳ではありません。時間的・金銭的に不可能だったり、時には違法な手段となることもあります。しかし彼の場合、上長のご機嫌を損ねないようにすることが最優先ですので、「検討させてください」、という返事をすることはありません。「はい、わかりました」と即座に返事をして部下に対して命令をそのまま伝えるだけです。理不尽なことを押し付けられた部下側はいい迷惑ですが、部下の意見には耳を傾けません。面倒くさいですから。上司の大切な役割の一つに、部下が能力を発揮しやすい環境づくりというのがありますが、彼の下では夢のまた夢です。
現場で起こっている事実から目を背け続けた結果、後になって大きなトラブル・損害につながったケースを、実際に私は嫌というほど見てきました。
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5)仕事上の相談相手にならない
このリーダーは問題が発生した時の相談相手として役立たないことが多いです。「すべてうまく行きました。どうかご安心ください。」という報告しか受け入れてもらえない感じなのです。それでも彼に対して相談事が持ち込まれることはありますが、基本的には逃げの姿勢が根底にありますので、口先のごまかし・言い訳・思いつきに終始することが多く、聞く側を疲れさせます。以前、現場の人間から、長期に渡る深刻なトラブルの相談を受けた時に「こんなことで連絡してくるなんておかしい。自分で解決できないのはそちらの能力に問題があるのでは?」と穏やかに言い放ち、相手を激怒させたことがあります。相談してきた相手が自分より立場が下だったので緊張感が無かったのかもしれません。しかし、面倒事を避け自分の心の平和を守る為なら何でもやりかねない人だな、と再認識しました。
以上、事例を挙げてきましたが、たくさんあり過ぎてこの記事で全て紹介することはできません。このリーダーのことを一言でいえば「頼りない」、です。上司の仕事を部下が代わりにしなければならないケースが多いので、成長するチャンスかもしれませんが・・・
リーダーとして必要な資質を欠いているこの人物が抜擢された理由を私は長年考えてきましたが、未だに解りません。強いて挙げれば、権威に従順であり、何でも「はいはい」と言うことを聞くことですかね。サラリーマンの世界ではイエスマンが何より重宝されますので。
この記事で紹介しているリーダーの性格は、エニアグラムでのタイプ9に相当します。
自分の心が平和に保たれることを何より重視し、緊張・ストレス・トラブル要因を排除したがります。このタイプ9に分類される性格自体は良くも悪くもありません。タイプ9の人がリーダーになってはいけない理由もありません。彼が自分自身に対する理解が乏しく、行動・態度を改善する必要性を感じていない、ということが問題なのです。
エニアグラムについては、下記を参考にしてください。人間の性格分類・特徴などを体系的に理解できるので中々興味深いです。
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コミュニケーションの方法:
この頼りないタイプがリーダーになってしまった場合、部下として支えるには次のような行動が必要です。
・問題を相談しに行くのではなく、自分で問題を解決した後に報告に行く。
・問題の解決方法を相談したい場合は、別の信頼できる人間のところへ行く。
・心配をかけないように小まめに「順調です」と連絡する。
・「大丈夫ですから安心してください」というフレーズを用いて元気づける。
・部下であっても上司の代わりになり、積極的に調整・交渉作業に取り組む。
部下の立場から見ると手のかかる上司ではありますが、サラリーマンとしてなるべく平穏に過ごしたいならば避けられない作業です。「こんな上司は要らないんじゃないの?」という疑問は当然ありますが、大企業病にかかっている会社では珍しくない光景ではないでしょうか?もちろん長い目で見れば次のことが言えます。
「置かれた立場で行うべきことをしようとしない怠け者は淘汰され、忘れ去られる運命にある。」
以上