英字新聞で情報を得よう!(32)・・・電気料金の値上がりに納得していますか?

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浜岡原子力館1
写真(浜岡原子力館)
 9つの電力会社が2012年度に費やした広告宣伝費は380億円にも上るそうです。2010年度と比べたら56%減っていますが、それでもかなりの金額です。そのうち何十億というお金が原子力発電所のPRに使われているというのをご存知でしたか?福島原発が大事故を起こして以来、世界中に迷惑をかけているにもかかわらず懲りない人たちですね。宣伝に使われるお金は我々が払う電気料金からすべて捻出されています。そういえば最近、電気料金がかなり引き上げられていますね。

 静岡県にある悪名高き浜岡原子力発電所を抱える中部電力は浜岡原子力館というPR施設を運営していますが、運営費用の開示を拒否しています。菅直人元首相は、「浜岡は30年以内の発生確率87%の巨大地震の震源に立地している。事故を起こせば東海道新幹線や東名高速などの大動脈や自動車産業が大打撃を受け、100万人単位の避難が必要になる。そうなれば日本はもたない」と言っていました。「危険な浜岡原発を宣伝するために多額の費用をかけているのか!?」という批判が国民から噴出することが明らかなので金額を開示できないのでしょうね。

 福島原発事故が起こる前、私は浜岡原子力館を見学したことがあります。非常に立派な施設で、原子力発電の必要性や安全性を強くアピールしていました。巨大な原子炉の断面模型など印象的な展示物が多かったのを今でも覚えています。問題意識の少ない人が観光気分で訪れたら、原子力発電所のファンになってしまうかもしれません。
浜岡原子力館2
写真(浜岡原子力館内部)

浜岡原子力館3
写真(浜岡原子力館内部)

 しかし福島原発事故以降、国民の意識が高まったこともあり原子力PR施設に訪れる客の数は減少傾向にあります。再稼働一番乗りになりそうな鹿児島県川内原発のPR施設ではピーク時の五分の一以下に落ち込んでおり、2012年度では一日当たり40人程度しか訪れていません。閑古鳥の施設運営に多額の費用をかけるのは非効率的で無駄遣いだと思います。電気料金値上げは、電力会社の徹底的な経営効率化と無駄遣いの排除が条件だったはずです。

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 電力会社側は福島原発以外の原発PR施設を廃止する気はないようです。彼らの主張を要約すると「原発に関する正確な情報を解り易く国民に伝え、再稼働をご理解頂くために不可欠な施設」なんだそうです。「原発のマイナス情報を隠して、世論を再稼働に誘導するための施設」であるように私は感じています。いずれにしろ、訪問客数があまりに少ないので役割を果たしているとは言い難いです。

 最後に、朝日新聞英語版の2014年8月15日付記事「Utilities still spending consumer fees to run nuclear-promotion centers」(電力会社はいまだに、原発宣伝施設運営の為に電気料金を費やしている)を以下に引用します。このブログ記事に関連した内容ですので読んでみてください。( )内は私の日本語訳です。

「Seven electric power utilities continue to spend billions of yen to run facilities that promote nuclear power despite dwindling visitor numbers and pressure on the companies to cut costs.」
(7つの電力会社は原発宣伝用の施設運営のために何十億円という金を掛け続けている。訪問客が減少し、コスト削減圧力があるにもかかわらずだ。)

「Operating expenses for these public relations centers are covered by consumer payments for electricity, the rates for which were raised after the utilities’ nuclear reactors were taken offline following the 2011 Great East Japan Earthquake and tsunami.」
(原発宣伝施設の運営費は消費者が支払う電気代で賄われている。2011年の東日本大震災により原発が停止して以降、電気代は値上げされている。)

「The government approved the higher charges on households based on the premise that the companies would take thorough measures to improve efficiency and reduce spending.」
(電力会社が徹底的に経営効率化を図り経費削減に取り組むことを前提に、政府は家庭用電気料金の値上げを許可したのだ。)

「The nine utilities in Japan that operate nuclear power plants spent 38 billion yen ($370 million) in advertising in fiscal 2012, a 56-percent drop from fiscal 2010.」
(日本で原発を運営する9つの電力会社が2012年度に広告宣伝費に費やしたお金は380億円である。2010年度と比較して56%の減少だ。)

「But according to research by The Asahi Shimbun, seven utilities–Hokkaido Electric Power Co., Tohoku Electric Power Co., Tokyo Electric Power Co., Chubu Electric Power Co., Kansai Electric Power Co., Shikoku Electric Power Co. and Kyushu Electric Power Co.–still run 17 promotional facilities.」
(しかし、朝日新聞の調査によると、7つの電力会社はいまだに17か所の宣伝施設を運営していることが判っている。北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、関西電力、四国電力、そして九州電力だ。)

「Six of them revealed they will spend a total of about 3 billion yen in operating expenses this fiscal year for the public relations facilities, most of which are related to nuclear power plants. Chubu Electric declined to provide figures.」
(その7つの電力会社のうち6つは今年度、原発関連の宣伝施設運営に総額で約30億円を費やす予定だ。7つのうち残りの1つの中部電力は数字の公開をしようとしない。)

「Many of the facilities were built near power plants to illustrate the mechanism of nuclear power generation. Models, images and other displays appeal the need for nuclear energy and its safety. 」
(そうした宣伝施設は原発の近くに建てられており、原発内部の構造を展示している。原発は必要なもので安全なんだという主張が、模型・絵などの展示物でなされている。)

「In fiscal 2012, 15,000 people visited an exhibition center near Kyushu Electric’s Sendai nuclear plant in Satsuma-Sendai, Kagoshima Prefecture, below 20 percent of the peak figure in fiscal 1982.」
(鹿児島県薩摩川内市の九州電力川内原発近くにある宣伝施設には、2012年度15000人が訪れた。ピークだった1982年度と比べて、20%以下の人数だ。)

以上

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投稿者:

J IWASAKI

J IWASAKI

大学卒業後、民間企業に長年勤めてきました。 英語学習に関しては殆ど独学ですが、TOEICで950点に到達しました。 このブログでは、私が効果的と考えている英語学習方法を紹介しています。 また、英語ニュースに関しても自分の考えを交えながら解説しています。 出来る限り平易に書いていますので、気軽に読んでください。